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​HOME > 乳がん自己検診 > 婦人検診バスでの乳がん検診に関する講話<第二部>

今、乳がんで手術を受ける方の8割から9割の方は、きっかけになってるのが自分でしこり、ないししこりっぽいものに気がついて、お医者さんに行って見つかって手術になったという形が実情です。

ということは、ふだん触ってる、そうやって自己検診ですね。自分で触って見てる見てないかで、最初に気がつく大きさはかなり変わってくる可能性があるということですね。

ここが大事でして、結構な人は偶然触って、こんなでっかいのに気がついて、病院へ行って、それから慌てて、いい医者いないかって探すというような形が多いんです。で、それを皆さんちゃんと知っておいていただいて、自分で触るって形でやっていただければ、もしかするとその半分でその人も気がついたかもしれないってことになるわけです。

ここが大事でして、手術するときの大きさによって、後の運命というのはかなり変わる可能性があります。もちろん小さく見つかってもたちが悪くてすぐ亡くなる方がいますけれども、ある程度のところで適切な処置して、治療を受けてれば、結構な人は天寿を全うする人が多いんです。ただ、大きくなっちゃえば、それだけそういう後の結果というのは悪くなったりとか、再発でおびえる、おびえ方がひどくなったり、高くなったりとか、そういう形になるわけなんで、一番大事は、なるべく早く、いわゆる早期発見、早期治療っていうやつですね。そういう形が今のところは非常に大事です。

将来的にすばらしい薬ができて、どんな状況になっても薬やっちゃえば治るんだよっていう時代が来れば話は別ですけれども、今のところそういう形に全然なっておりませんので、早期発見して、ちゃんと処置をするという形が基本になってます。

ということで、何が言いたいかっていうのは、皆さんちゃんと自分で触って、気にしてて、早く見つけましょうということですね。
それをやっていただきたいというのが。そういうことだけわかってもらえば、きょう1日は来てもらったかいがあるかなという形になるんです。

ただ、実際のところですね、去年もこの席で同じような話をしました。
で、皆さん、うちへ帰ってやってくださって、で、やるときいつも、「いつも触ってましたか」って聞くと、よくあるのがですね、「去年、先生に言われたもんだから、最初の三月は触っておったんですけどね」といういわゆる三月坊主ですね。
そういう方が結構多いです。
続かないと意味がないですね。
わかっていて、そのとき理解したと思っても、頭の中から消えてしまう。何でそうなるかっていうと、考えれば答えは1つです。
まさか自分に限ってという意識が皆さんのどこかにあるんですね。
ただ、手術をする患者さんに、皆さんに聞くんですけれども、ほとんどの方が同じことをおっしゃるんです。
「まさか自分がなるとは思わなかった」と言ってるんです。
逆にいうと、「明日の我が身」だというふうに思っていただきたい。

というのは、珍しい病気なら、ある意味じゃしょうがないですね。
ただ、乳がんというのは、今、ほとんど一番多いがんの仲間に入っちゃっています。
胃がん、大腸がん、乳がん、この3つが女性のがんのトップを競ってます。それで、40、50、60代だけ抜き出すと、乳がんがトップだろうとも言われてますし、統計によってはもう乳がんがトップになってるという統計もあります。一番多いがんの仲間に入っていることは確かですから、もっと関心を持っていただきたいと思いますね。
日本人は世界一胃がんの多い国民ですので、昔から胃のことについては、かなり知らないうちにでも関心が高かったんです。
日本の胃がん検診とか胃がんの診断・治療の水準は世界一なんですね。
そういう形で、胃については結構関心を持っていて、時々胃カメラをやったりとかする人は結構いるんですけれども、じゃあ、お乳はどうでしょうって言うと、もう今、胃を抜いたぐらいになってきてるのに、あんまりとんちゃくがないです。
子供育てておっぱいをあげちゃった、あげ終わった後はもうほったらかしという形が実情だと思うんですね。聞くと、そんな形で皆さん言われるもんです。
そういうことじゃなくてですね、もっと関心を持っていただきたい。それだけ多いがんなんだから。いつなるかわからないっていう形で見ててもらいたいと思います。

欧米の先生なんかが日本へ来るとですね、その実情に愕然とされる人が多いみたいです。
ある人は「もう日本人っていうのは、乳がんに関しては本当に未開の国民なんだね」っていうふうに言われた方もいます。
くやしいけれども、実情はそうなんですね。それだけ関心が低いです。
最近やっとちょっとそういう関心が少し高まりつつありますけれども、まだまだ非常に低いと。
偶然、こんな触って、こんな大きいのに気がついて来るっていう形がいまだに繰り返されている現状があります。
欧米の人にとっては信じられない光景という形をおっしゃるんです。
それだけ意識が進んでないっていうことをよく認識しておいていただきたい。

じゃあ、これからはそれじゃあいけませんので、ということで、自分でもっと関心を持っていただくことを、きょうひとつお願いしておきたいと思います。去年も同じ話をしたんです。

だけど、やっぱり三月坊主になるんですね。
ここをですね、ですから今年は三月坊主にならない方法まで言わなきゃいけないと考えたんです。
私のところでその3つの検査をやって、まあ、よさそうだと。それだけやっても、いいよって言わないんです。
それでもわかりにくい、お乳の判断が難しいのが病気のチェックなんで、胃カメラするとね、つるっとした胃の粘膜を直接見てみるのとわけが違って、なかなかちょっと判断が難しいところがあります。
ですから、3つの検査をやってもいいよと言うと、結局安心しちゃって触らなくなりますから、これでわからないこともあるんだと。
それは自分に自信がないからってわけじゃなくて、いくら調べても難しいのは現実としてあるもんですから、それで隠れてる、まだわからない状態で隠れてることがあると。
それをちゃんと認識しておいてもらって、1年に一遍は来てもらいますけれども、その間は自分で見ていてください。で、胃袋は自分で触れませんですよね。
自分で触れないから、年に一遍先生任せで見てもらうしかないんです。
ただ、お乳は自分で触れるところにあってですね、現実、それできっかけになってる人がほとんどなんですから、それに多いがんですから、自分でチェックしない手はないってことになるんですね。
それをやってるかやってないかで、さっき言ったように運命が変わるもんですから、ぜひ、自分で触るということ、これが一番大事だってことをきょう覚えてください。で、医者へ行って診せるときは、触ってわからないものがないかどうかをチェックしてもらうという。
チェックしたら、その問題ないとは言えない。なさそうだというのがわかったというのが、大事なことなんです。で、その日のうちにちゃんと触って覚えてくださいって申し上げるんですね。

触るんだけど、どこを、どうやって触るかと。お乳触るけど、わかんないわって、それは我々触っても、触るだけじゃわからないことがある。
難しいのは確かですけれども、乳がんはまずどこにできるか。お乳の、おっぱいの皮の下に脂、皮下脂肪があって、それでその中に乳腺という名前のミルクをつくる臓器が浮いてる状態なんですね。
その乳腺にできます。だから、自分で触るときはただおっぱいを触るんじゃなくて、1つ進んで、乳腺を触るんだという意識でやってください。
要するに、皮と脂を越して、その下の、大抵ボコボコしてるんですけれども、ボコボコした乳腺で、乳腺というのは外上に一番多く残っています。
こうやってギュッとつかむと、外上に大きな塊のように触るのがあると思います。それ、大抵乳腺なんです。もちろん、それをしこりだと思って、慌てて飛んでくる方いますけれども、それが乳腺です。
乳腺だと思ってたら、全部がんだといけませんので、心配だったら来ていただくしかないですね。そういう乳腺をですね、しっかり自分で触って覚えちゃう。
さっき言ったようにボコボコしてるんです。山あり谷ありですね。山あり谷ありの乳腺の地図を自分の頭の中に描いてくださいってことです。で、問題はなさそうだと、乳腺を丸ごと覚えちゃうんです。
「基本形」を覚えます。で、地図を描いて覚えちゃうんです。頭の中に地図描いて。で、それに、中にもしがんが隠れていると、いつかだんだん大きくなって、ほとんどの乳がんっていうのはしこりをつくることが多いもんですから、しこりをつくらないやつなんかのもあります。
そういうのはわかりませんが、大抵しこってくることが多いんで、そのしこり、いつもと違う様子が出てくるはずなんですね。だんだん大きくなって。小さいうちは触ってわかりません。
ある程度の大きさになると、いつもと違うっていうのはわかるはずです。これをなるべく早く気がついていただくためにやるのが自己検診。基本形にプラスアルファの変化が出るのを早く気がつく。
これが自己検診の一番のポイントになります。

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